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事業承継における行政書士の活用
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事業承継における行政書士の活用

行政書士職を兼務しながら、行政機関で専門職として3年間勤務し、感じたことは、なぜ、重要な許認可申請で、承継に絡む重要な申請を、マニュアルも読んでいないと思われる、不慣れな専門家を使うのか?この3年間、書類不備による失敗を多々拝見した。認可書発行まで数ヶ月もしくは1年を要する無残な結果を多々見てきた。

視点を変えると、許認可手続きを理解すれば、承継がスムーズに進むということになる。

様々な許認可の知識は持つこと、理解することは、事業承継士・事業プランナーにとって、大きな武器になる。

日本の行政の許認可申請は、残念ながら、非常に煩雑なものがある。道府県と、その政令指定都市で、様式が異なったりしている。印鑑(実印)が必要な書類がまだまだ多い。医療法人設立申請は、年2回しか申請できない自治体がほとんど。さらに、その受付期間が約1週間と、非常に短いケースが多い。押印廃止の過渡期では、地方自治体で様式が異なり、押印の扱いが異なっている。国が既に押印を廃止しているのに、地方自治体では残っていたりもする。数年かけて改善すると思われるが、このような時期に事業承継があると危険である。また、行政への申請のデジタル化は進むも進行状況は様々である。

許認可手続きが多い事業承継は、経験を積んでいる、その分野に長けた、その地域の行政書士と組むのがベストである。

メリットは、①時間の短縮、間違いが少ない、②ルールの把握ができ、数年かけての承継準備が可能、③不足している現状手続き/書類確認が可能(届出の出し忘れなど)である。

デメリットしては、①費用がかかる、ということではあるが、リスクと時間短縮のバランスで検討すると実は費用は安い。②ノウハウが残らない、と捉えるとデメリットであるが、手続が年々変化しており、次回は、経験が生きない可能性がある。

もう一点注意すべき点は、デジタル化が進みだしており、押印・様式などの “手続” だけの視点でとらえると、現在の行政手続きの経験・知識は、過去の遺物になる可能性がある。年々変化している。分野によっては、国の様式で統一されたりしている。まだまだ、デジタル化と言いつつ、実態はpdf、エクセルなどなどの分野もある。

結論として、繰り返しになるが、事業承継士・事業プランナーは、許認可手続きが多い事業承継では、様々な経験を積んでいる、その分野に長けている、その地域の行政書士と組むのがベストである。

その見極め方は、①必要とする分野で実績の多い方をホームページで確認する。直接、問い合わせる。②その専門分野の他の資格を有する。その分野の様々な“研究会”等に所属している。つまり、その特定分野の最新情報が豊富であり、最新情報取得に、お金をかけていると思われる。その方が、万が一忙しい場合でも、他の優秀な方を紹介してもらえる可能性がある。③行政からの依頼で、その分野の相談員などについている。などである。

事業承継チームでの、行政書士の役割は、①そもそも、どのような許認可を持っているのか?②後継者は、許認可の取り直しなのか?引継げるのか?③承継はいつから準備を開始するか?足りないものは何か?人材はいるのか?(又は、廃業手続きはどうする?簡単に、解散・清算できるか?)④経営者が、突然、亡くなると、事業は存続できるのか?などなどの“許認可デューデリジェンス”を行うことにある。

もし、事業承継チームに専門行政書士がいない場合、行政手続きが滞っている場合、チームに行政書士を加えること、是非、検討してみてはいかがでしょうか。

【執筆者紹介】
辻 保司 氏(つじ やすし)
辻経営行政書士事務所代表。
東京都医療政策部に3年在籍、医療法人指導専門員。医療法人設立・医療施設開設・譲渡・廃止の許認可申請が得意。申請準備は、審査経験の視点から的確で、無駄なく効率が良い。医療法人財務分析に長け、M&Aリスクを見抜く力は、数多くの案件を分析・審査した結果である。現在も、東京都医業経営アドバイザー。

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