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<< 次世代型人事制度 >>の構築と運用の秘訣

事業承継後に、後継者が最も気になる労務テーマが人事制度である。

ベテラン層に対し、給与の割には、成果を出していないと不満を持てば、せっかく採れた優秀な若手から離職してしまう。そんなジレンマに悩む後継者からのご相談が後を絶たない。あなたが関わるクライアント先はどうだろうか。

継続的な“賃上げ”が求められる昨今。会社の本音で言えば、やりたいことは、仕事の評価基準を明確にし、給与を上げたり、下げたりできること。

実現の鍵は、経営者(会社)と従業員の目線合わせだ。

経営者は、仕事の見える化から始めてみよう。ポジションごとに求める役割を明示し、仕事の成果に繋がる技術スキルと、会社の社風にあったヒューマンスキルを元に従業員を採用し、育成していくことが大事だ。

経営計画、採用戦略だけでは留まらず、変化する会社のステージに合わせた“人材戦略”の提案が、経営者をサポートする側(事業承継士等)に求められる時代になった。

続いて、『統計データ』のポイントをご紹介した。

2022年版中小企業白書によると、人材像、目指す姿の明確化、人事制度の有無が売上高増加率と関連性がみられた。特に5~20人、21~50人の規模では、人事制度の有無で、ほぼ2倍の違いがでているのは特筆したい。

また、人事制度は作っただけでは終わらない。その後の運用に課題があることが、大手コンサル会社のアンケートから明らかになった。

評価に対する不満で、最も高かったのが、48.3%の、『評価の基準が不明確』、続いて、30.9%の『評価結果が報酬に反映されない』の回答が続く。

現場の評価者の負担、時間的・労力的限界も見逃せない。『それぞれの部下に対して適切な目標を設定するのが難しい』が58.8%、続いて、『部下の目標の添削に時間がかかる』等が36.1%。評価者に負荷がかかり、制度の根幹にかかわる運用面での不安が露呈した結果だ。

“次世代型人事制度”の構築方法、その運用ポイントを後半で、整理した。
・通常の人事制度構築方法との大きな違いは、通常、1年~2年かかっていたモノを、最短期間6か月+αに収めるスピード感。
・評価の代わりに、“対話”グループミーティングを制度の軸に添えているのが特徴だ。

期中は成果に繋がるプロセスに注目。自身の納得感を高める目的で、任された役割に対する進捗をセルフチェックすることに重きを置く。さらにミーティングの場では、メンバー同士でポジティブなフィードバックを送り合うことで相互支援する場を設計。

仕事の成功確率を飛躍的に高める、“成功メソッド”によって、『業績向上×人材育成』の両立が実現可能。

回数を重ねれば、働く周りの仲間たちがどんな仕事をしているのか、どんな思いを持っているかがわかるので、職場内で自己・他者理解に繋がるはずだ。

結果として、仕事上の相互支援が社内で自然発生的に生まれていくことが期待できる注目の仕組みである。

最後になるが、私が人事制度構築と運用支援で、特に意識するのは、「崩れにくい会社」創りである。わかりやすくイメージしていただくために、会社を家に例えてお伝えする。

家を建てる時には、「○○な家にしたい」というイメージがあり、それを形にするためには設計図を起こす。そして、まず土台を作り、柱や梁を造っていく。

ここがしっかりしていないと、地震などの衝撃があった時に家は崩れてしまう。つまり、「人事制度」というのが、その会社の「理念の浸透」や「仕事の役割」「キャリアビジョン」「賃金体系」などの軸を定め、働く人がどうやったら給与が上がるのか、その方法を自身で理解できたり、自身の希望が反映させることが、中長期的に長く、安心して働ける職場イメージを描くために、とても大切なのだ。

経営者と未来をお話ししながら、一社一社オーダーメイドな関わりで人事制度を創っていきたいと願っている。人事の専門家として、そこにこれからも、こだわっていきたい。

【執筆者紹介】

山崎 裕樹 氏(やまざき ゆうき)
社会保険労務士法人ネクステップ 代表社員
特定社会保険労務士/事業承継士1977年、福島県生まれ。 中央大学法学部卒業後、国家公務員を経て、職員30名、顧問先300社規模の社労士法人にて営業・人事役員を歴任。
現在は、中小企業を中心に、あるべき会社・社員像など、理念共有・浸透の部分からの支援と、経営参謀役としての人事制度構築の伴走支援が得意。

 
 
 
当記事は、2023年4月25日に資格継続セミナーで講演した内容を要約して掲載しております。
当日の講義を視聴希望する方は下記よりお申し込みください。
https://www.shoukei.or.jp/onlineseminar#KOUZA
今後も資格継続セミナーを下記の通り開催致しますので、ぜひご参加ください。

今後の資格継続セミナーのご案内

資格継続セミナーは、事業承継支援者向けのスキルアップセミナーです。

※画像をクリックすると申込ページに移動します。

【2023年7月】

開催日 :2023年7月25日(火)18時30分~20時30分
講師  :古賀 雄子 氏(事業承継士・税理士・中小企業診断士)
テーマ :事業承継支援では知らないでは済まされない税務の知識 税制改正の内容ともたらす影響を総ざらい!
内容  :次世代への早期の資産移転のための導入された相続時精算課税や、贈与税は、事業承継にも大きく関わっています。このからの税制が令和5年度に改正になりました。また、事業承継税制も特例承継計画書の提出期限が令和6年3月31日と迫っています。今回は、税制改正内容や事業承継税制など、改めて事業承継への影響をみていきましょう!
参加費 :2,000円(税込)
     事業承継士または事業承継プランナー以外は4,000円(税込)
詳細  :https://www.jigyousyoukei.co.jp/2023/05/24262/

【2023年8月】

開催日 :2023年8月29日(火)18時30分~20時30分
講師  :納塚 大 氏(事業承継士・中小企業診断士)
テーマ :事業承継支援の実践 ~テレビ番組制作会社の従業員承継から、飲食店のM&Aまで~
内容  :あなたのお客様が事業承継に取り組むことになった場合、適切なアドバイスができますか。私も顧客がいよいよM&Aで事業拡大することになり、検討段階から支援しました。事業承継支援の経験が少ない私が、どのように取り組み、どのようなことでつまづいたのか、分かりやすく説明します。売り手と買い手の交渉の場面、企業価値の算定、補助金の活用など支援に必要な全ノウハウを提供します。
参加費 :2,000円(税込)
     事業承継士または事業承継プランナー以外は4,000円(税込)
詳細  :https://www.jigyousyoukei.co.jp/2023/05/24620/

【2023年9月】

開催日 :2023年9月26日(火)18時30分~20時30分
講師  :川居 宗則 氏(事業承継士・中小企業診断士・1級FP)
テーマ :スムーズな事業承継に向けた 「経営者保証改革プログラム」活用術
内容  :事業承継では借入金の経営者保証がネックになるケースが多々あります。 金融庁が発表した「経営者保証改革プログラム」により、 経営者保証不要の融資が受けられる可能性が広がっています。この制度を理解して、スムーズな事業承継を進める提案力向上を図ります。金融機関への交渉術についても、講師の経験からお伝えします。
参加費 :2,000円(税込)
     事業承継士または事業承継プランナー以外は4,000円(税込)
詳細  :https://www.jigyousyoukei.co.jp/2023/05/24589/